クレジットカードの海外手数料12社比較|1.60%〜3.85%の差と選び方

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海外でクレジットカードを使うと、決済額に1.60%から3.85%の事務手数料が上乗せされます。低いほうはイオンカードの1.60%とJCB カード Wの1.6%で、楽天カードは3.63%、エポスカード・PayPayカード・dカードは3.85%です。同じJCBブランドでも発行会社によって1.6%から3.85%まで割れるので、国際ブランドでは決まりません。そのうえ、この引き上げは終わっていません。三菱UFJニコスは2026年11月に一律4.09%(税抜)への改定を予告していて、Visa・Mastercardは4.50%、これまで安かったJCBは2.04%から4.34%になります。12社の料率と、還元率で相殺した実質の負担を出しました。

目次 11項目
  1. 海外事務手数料は1.60%から3.85%まで開いている
  2. 請求額は「ブランドのレート」と「発行会社の手数料」の二段で決まる
  3. 「JCBブランドだから海外に強い」は成り立たない
  4. 引き上げは2024年に始まり、まだ終わっていない
  5. 同じ発行会社でも、料率が違うカードがある
  6. 実質の負担は「事務手数料 − 還元率」で見る
  7. 現地で「日本円で払いますか」と聞かれたら(円建て決済・DCC)
  8. 現金が必要なら、キャッシングには事務手数料がかからない
  9. 料率の一覧には出てこない、損につながる条件
  10. 結局どのカードを持っていくか
  11. よくある質問

海外事務手数料は1.60%から3.85%まで開いている

海外でカードを切ると、現地通貨の金額を日本円に直すときに手数料が上乗せされます。呼び方は海外事務処理手数料・海外取引関係事務処理経費などと会社ごとに違いますが、中身は同じものです。公式の告知やFAQで確認できた料率を、その会社の一番低いものが上に来る順で並べます。

カード(例)発行会社海外事務手数料
イオンカードイオンクレジットサービスブランドを問わず1.60%
JCB カード Wジェーシービー(自社発行)1.6%(JCB)
リクルートカードJCBはジェーシービー / Mastercard・Visaは三菱UFJニコスJCB 1.6% / Mastercard・Visa 3.85%(税込)。2026年11月にMastercard・Visaが4.50%へ
三菱UFJカード三菱UFJニコスJCB 2.04% / AMEX 2.0% / Visa・Mastercard 3.85%(税込)。2026年11月にそれぞれ4.34% / 4.30% / 4.50%へ
Amazon Mastercard三井住友カード2.20%(税込)
三井住友カード(NL)三井住友カード3.63%(税込・Visa・Mastercard)
楽天カード楽天カード4ブランドとも3.63%(税込)
エポスカードエポスカード3.85%(Visa)
PayPayカードPayPayカード3ブランドとも3.85%(税込)
ライフカードライフカード3ブランドとも3.85%(税込)
セゾンカードインターナショナルクレディセゾン4ブランドとも3.85%(税込)
dカードNTTドコモ・フィナンシャルグループ3.85%(消費税10%を含む)

左の列は、その発行会社のカードの例として挙げたものです。料率は原則として発行会社ごとに決まっていますが、リクルートカードのようにブランドで発行会社そのものが変わるカードでは、1枚のなかで料率が二つに割れます。同じ会社でも提携カードだけ別建てになっていることもあり、これと2行に併記した2026年11月の改定は、どちらも後段で中身を見ます。税の表記は各社の公式のままにしています。最も低いイオンと3.85%の差は2.25ポイントで、年間の海外利用額に当てはめると次のような金額になります。

年間の海外利用額1.60%2.20%3.63%3.85%
10万円1,600円2,200円3,630円3,850円
30万円4,800円6,600円10,890円11,550円
50万円8,000円11,000円18,150円19,250円

年に一度の旅行で10万円なら、最安と最高の差は2,250円。カードを1枚増やしてまで詰める額ではないかもしれません。ただし海外での支出が年30万円を超えるあたりから、差は年6,750円に広がります。留学や長期滞在、海外通販を日常的に使う人には効いてくる水準です。

請求額は「ブランドのレート」と「発行会社の手数料」の二段で決まる

海外での請求額は、国際ブランドが決めた為替レートで円に直したうえで、発行会社の事務手数料を上乗せして計算されます。気にするべきなのは、上に乗るほうが会社ごとに違う点と、換算に使うレートが利用日のものではない点です。

円に直す元になるレートを、JCBは基準レートと呼んでいます。この基準レートを決める日、つまり換算日は、JCBが海外の加盟店などに支払処理を行った日で、通常は利用日から約3〜10日後です。

日数まで公表しているのはJCBだけですが、利用した日のレートではないという点は他社も同じです。ライフカードは国際ブランドの決済センターにデータが集まった時点、エポスカードは売上データがVisa決済センターに到着した時点のレートで換算すると書いています。

一方で、ブランドごとに換算日を書き分けている会社もあります。楽天カードの会員規約は三通りに定めていて、Visa・Mastercardは決済センターが利用情報を処理した時点、JCBはJCBが加盟店等に支払処理をした時点、American Expressだけは決済センターが海外の提携先から情報を受領した日の前日のレートです。イオンカードも、VisaとMastercardは決済センターで集中決済された時点ですが、JCBはJCBが海外の加盟店などに支払処理を行った日を換算日にしています。どの会社かだけでなく、その中でどのブランドを選んだかでも換算日は変わります。

「思ったより高い請求が来た」の主な原因はここにあります。旅行中に見ていた為替レートと、実際に適用されるレートは別物です。円安が進む局面では、帰国後に届く明細のほうが高くなります。

「JCBブランドだから海外に強い」は成り立たない

JCBが公表している1.6%は、しばしばJCBブランドの海外手数料として扱われます。ただしJCBの基準レートのページは、それが最終的な料率だとは言っていません。「基準レートに一定の率を加えた換算レートで日本円に換算します。実際に適用される換算レートは、カード裏面に記載のカード発行会社にお問い合わせください」というのが公式の説明です。

実際、同じJCBブランドでも最終料率はここまで割れます。

発行会社JCBブランドの料率公表されている内訳
ジェーシービー1.6%基準レートに1.6%を加算
三菱UFJニコス2.04%JCBが定めた1.60%と当社が定めた0.44%
ライフカード3.85%JCBが定める1.6%と当社が定める2.25%
クレディセゾン3.85%JCBが定める1.6%と当社が定める2.25%
PayPayカード3.85%内訳の記載なし

内訳を公表している会社を並べると、JCB側の取り分は一貫して1.6%です。差を作っているのは、その上に乗る発行会社の取り分のほうでした。

この構造は、料率が動くときにいちばんはっきり見えます。三菱UFJニコスは2026年11月にJCBブランドを2.04%から4.34%へ引き上げますが、告知に書かれた内訳を見ると、JCBが定める1.60%は据え置きです。動くのは同社の取り分だけで、0.44%(税込)が2.74%(税込)になります。ブランドが決めている部分は1円も変わらないのに、最終的な料率は2倍以上になる。同社のカードをJCBブランドで持っていて海外での支出が年30万円ある人なら、手数料は6,120円から13,020円へ、6,900円増える計算です。

同じことがAmerican Expressでも確認できます。クレディセゾンは改定の告知で、AMEXブランドの3.85%を「AMEXが定める0.25%と当社が定める3.60%(税込)」と分解しています。楽天カードの会員規約も「アメリカン・エキスプレスが定める2.00%に当社が定める所定の割合を加えた割合」という書き方です。ブランドの取り分は0.25%から2.00%で、残りは発行会社が決めています。

三菱UFJニコスだけは書き方が違い、AMEXについて「適用レートには、アメリカン・エキスプレスが定めた2.0%の外貨取扱手数料を含みます」としています。現行のレートについては、自社で上乗せするとは書いていません。ただし2026年11月の改定後は4.30%になり、その内訳は「アメリカン・エキスプレスが定める2.00%と当社2.09%(税込2.30%)」と書き分けられています。上乗せしないという状態のほうが、期限付きでした。

海外に行くからJCBにする、AMEXは手数料が高いから避ける。そうした選び方は、この構造を見るとそのままでは使えません。見るべきなのは、カード裏面に書かれた発行会社のほうです。そしてその発行会社が、1枚のカードのなかで分かれていることがあります。

同じリクルートカードでも、ブランドで1.6%と3.85%に分かれる

発行会社で決まるという話がそのまま形になっているのが、リクルートカードです。このカードはブランドを選ぶと発行会社まで一緒に変わり、JCBを選べば株式会社ジェーシービー、Mastercard・Visaを選べば三菱UFJニコスが発行元になります。券面の名前も年会費も還元率の1.2%も同じなのに、海外事務手数料はJCBブランドがジェーシービー自社発行の1.6%、Mastercard・Visaが三菱UFJニコスの3.85%です。

差は11月にさらに開きます。三菱UFJニコスの改定は対象を発行会社で括っていて、例外として名指しされているのはJALカードだけなので、リクルートカードのMastercard・Visaも4.50%になると読むのが自然です。1.6%と4.50%で2.8倍。年30万円を海外で使うなら4,800円と13,500円で、差は年8,700円になります。

申し込みのときにブランドを選ぶ画面は、海外を使う人にとっては手数料を選ぶ画面でもあります。ただしリクルートカードはブランドによってETCカードの費用やタッチ決済の可否も変わるので、海外の料率だけで決める話ではありません。3ブランドの違いはリクルートカードの公式サイトにまとまっています。

引き上げは2024年に始まり、まだ終わっていない

いま並んでいる数字は、この2年ほどで各社が一斉に動いたあとのものです。ただし、動きは止まっていません。まず、そこまでの一巡を並べます。

発行会社改定適用の基準
三菱UFJニコス2.20%→3.85%(Visa・Mastercard)MUFGカードは2024年8月13日、NICOS・JAカードは8月27日の請求分から
三井住友カード2.20%→3.63%2024年11月1日以降に到着した売上
ライフカード2.20%→3.85%2024年12月1日以降の利用分
クレディセゾン2.20%→3.85%(JCBは2.15%、AMEXは2.00%から)各ブランド決済センターで2024年12月4日以降に処理された利用分
楽天カード2.20%→3.63%2025年3月から
PayPayカード2.20%→3.85%(JCBは1.60%から)2025年3月10日以降の売上到着分
エポスカード2.20%→3.85%Visa決済センターで2025年7月1日以降に処理された利用分
Amazon Mastercard1.63%→2.20%2025年10月1日以降に到着した売上
dカード2.20%→3.85%2025年12月1日以降に到着する売上

理由の説明はどこもほぼ同じで、海外取引に関連するコストの増加を挙げています。dカードは「2019年以来、手数料を据え置いてまいりました」と書いていて、5年ぶりの引き上げでした。三菱UFJニコスの2024年の改定はVisaとMastercardが対象で、告知は自社発行のAmerican ExpressとJCBについて改定はないとしています。ただし、その据え置きはここまででした。

イオンについては、引き上げの告知を当サイトでは確認できていません。現在の公式FAQは1.60%のままです。

引っかかりやすいのが、右の列の書き方です。カードを使った日ではなく、売上データがカード会社や決済センターに到着した日を基準にしている会社が多く、店からデータが届くタイミング次第で適用される料率が変わります。三井住友カードとAmazon Mastercardの告知は、開始日より前の利用でも改定後になる場合と、開始日当日の利用でも改定前になる場合の両方を書いています。ずれは双方向で、利用する側には制御できません。

三菱UFJニコスは2026年11月にもう一段上げる

三菱UFJニコスは2026年5月15日に、外貨でのショッピング利用にかかる事務処理手数料を一律4.09%(税抜)へ改定すると告知しました(告知は同年7月1日に更新されています)。税込に直すとブランドごとに数字が変わります。

国際ブランド現行改定後(税込)
Visa3.85%4.50%
Mastercard3.85%4.50%
JCB2.04%4.34%
American Express2.00%4.30%

適用は、三菱UFJカード会員が2026年11月16日、NICOSカード会員が2026年11月6日の利用分からです。フランチャイジー各社が発行するカードも同じ内容だとされています。開始日より前の利用でも売上データの受信日によっては新しい手数料になる、という但し書きが付いている点は、上の各社と同じです。

上げ幅が大きいのは、2024年に据え置かれたJCBとAmerican Expressのほうです。Visa・Mastercardが0.65ポイントの上昇にとどまるのに対し、この2ブランドは2.3ポイント、率にすれば2倍以上になります。「三菱UFJカードならJCBを選べば2.04%で済む」という持ち方は、11月で終わります。

対象の書き方も2024年のときと変わりました。2024年の告知はMUFGカード・NICOSカード・JAカードとカード名を挙げていましたが、2026年の告知は「三菱UFJニコスおよび弊社フランチャイジー各社が発行するクレジットカード」と発行会社で括っていて、カード名もブランドも限定していません。2024年の告知に自分のカードの名前が無かったから今回も関係ない、とは読めない書き方です。手元のカードがどこの発行かは、裏面か会員規約で確かめられます。

同じ発行会社でも、料率が違うカードがある

発行会社ごとに表を作ると取りこぼすものがあります。同じ会社が出しているカードでも、提携先によって料率が別建てになっていることがあるからです。

三菱UFJニコスは、American Express以外のカードについてVisa・Mastercardの3.85%とJCBの2.04%をまとめて説明したあとに「一部、上記レート適用外のカードもございます」と断り、JALカードについては3.63%だと名指ししています。この但し書きが置かれているのは3ブランドを説明した段落なので、Visa・Mastercard・JCBのいずれで持っていても関係します。

JALカードは2026年11月の改定でも例外のままです。告知は、American Expressが3.43%(税込)になり、Visa・Mastercardは従来どおり3.63%(税込)だと書いています。同社の他のカードが4.50%へ上がるので、11月からはJALカードのほうが低いという逆転が起きます。JCBブランドのJALカードがどうなるかは、告知に書かれていませんでした。

三井住友カードはもっとはっきりしていて、2024年11月の3.63%への改定について「Amazon Mastercardは本改定の対象となりません」と書き、別の告知に誘導しています。そちらではAmazon MastercardとAmazon Prime Mastercardが1.63%から2.20%へ、2025年10月1日以降に到着した売上から改定されたとあります。同じ三井住友カード発行でも、Amazon Mastercardのほうが1.43ポイント低いという状態です。このカードの普段の使い方はAmazon Mastercardの還元率の記事で扱っています。

持ち帰るべき原則は単純です。提携カードは発行会社の一般的な料率をあてにせず、そのカードの名前で告知を確かめること。ただし三菱UFJニコスの2026年の告知のように、カード名を挙げずに発行会社で括る書き方もあります。カード名で見つからないときは、発行会社の名前でもう一度探してください。ここを飛ばすと、1ポイント以上ずれた数字で判断することになりかねません。

実質の負担は「事務手数料 − 還元率」で見る

料率だけを並べると、ポイントで戻ってくる分が抜け落ちます。海外で使った金額にもポイントは付くので、実際の負担は事務手数料から還元率を引いた差です。

ただし国内の還元率をそのまま海外に当てはめることはできません。公式サイトで海外を名指しした還元率の記述があるカードだけを並べます。

カード(ブランド)事務手数料海外の還元率実質の負担30万円使ったときの差引
JCB カード W(JCB)1.6%1.0%相当約0.6%1,800円
楽天カード(JCB・American Express)3.63%1.0%約2.63%7,890円
楽天カード(Visa・Mastercard)3.63%0.5%約3.13%9,390円

JCB カード Wは「国内・海外どこで使ってもつねにポイント2倍」と明記していて、200円(税込)ごとに2ポイントが付きます。1ポイントは最大1円相当で、MyJCB Payでの支払いに充てるときが1.0円と最も高く、Amazonでの買い物では0.7円、マイルへの交換では0.6マイルです。表の1.0%相当と実質0.6%は、最も有利な交換先を選んだ場合の数字だと考えてください。

楽天カードで注意したいのはブランド差です。手数料は4ブランドとも3.63%で差がないのに、還元率のほうは「海外取引等におけるご利用料金(Visa・Mastercardブランドのみ)」という区分が別に設けられていて、海外での取引は200円につき1ポイント、つまり0.5%になります。JCBとAmerican Expressにはこの区分がなく、1.0%のままです。楽天カード1枚で海外を使うときの詳細は楽天カードの海外利用の記事にまとめています。

ここで、American Expressなら還元率が下がらないから海外向きだ、とは言い切れません。楽天カードの会員規約は「AMEXカードについては、日本国外でのカードキャッシングを行うことができない」とも定めています。現地で現金が必要になる可能性があるなら、還元率だけで決める話ではなくなります。

この表に入れていないカード

イオンカード、三井住友カード(NL)、三菱UFJカード、Amazon Mastercard、PayPayカード、ライフカード、セゾンカードインターナショナルは、海外を名指しした還元率の記載を見つけられなかったため、実質の比較に入れていません。とくにAmazon Mastercardは手数料が2.20%と低い部類なので実質でも軽くなりそうに見えますが、公式サイトで海外利用の還元について書かれた箇所を見つけられず、数字を置けませんでした。

イオンカードは、ポイントの側は分かっています。イオンマークのカード払いは200円(税込)ごとに1 WAON POINTで、1ポイントは対象店舗での支払いや月々の請求金額への充当に1円として使えるので、国内の0.5%には公式の裏付けがあります。書かれていないのは、この200円ごとの付与が海外での利用にも同じように及ぶかどうかのほうです。

セゾンカードインターナショナルは事情が違います。永久不滅ポイントの円換算そのものは公式にあり、オンラインストアのSTOREE SAISONでは100ポイントを450円分として使えると案内されています。ただしAmazonギフトカードへの交換は1ポイント最大5円相当という別の案内があり、交換先によって1ポイントの価値が動きます。還元率を一つのパーセントに固定できないので、この表の形では扱えません。ライフカードについては、1ポイントが何円に相当するかを当サイトが確認できていません。

dカード、エポスカード、リクルートカードは「いつでも、どこでもショッピングのご利用で1%ポイント還元」「Visaが使える所ならたまる」「どこで使っても高還元率でポイントが貯まります」という書き方で、海外を名指ししてはいません。海外利用がポイント対象外だと書かれてもいないので付くと読むのが自然ではありますが、確定した数字として表に入れるのは避けました。

現地で「日本円で払いますか」と聞かれたら(円建て決済・DCC)

海外の店やATMでは、決済の直前に現地通貨と日本円のどちらで払うかを選ばされることがあります。日本円を選べば金額が円で確定するので分かりやすく見えますが、そこで換算するのはカード会社ではなく店側です。原則は単純で、選べるなら現地通貨のほうを選びます。

三菱UFJニコスはこれを明確に書いています。「加盟店独自の換算レートが適用され、通常の換算レートより割高になることやご利用いただけない場合もございます。日本円(あるいはUSドル)での請求を希望しない場合はその場で加盟店に申し入れ、現地通貨でご利用ください」。選択肢に日本円だけでなくUSドルが出ることにも触れている、数少ない公式の説明です。

米ドルを挟む換算が実際に起きることは、楽天カードの会員規約からも読み取れます。AMEXの手数料について「米ドルを介しての円貨換算の場合、当該手数料が重複して課せられることはありません」とわざわざ断っているのは、二段階の換算がありうるからです。

JCBも同じことを、換算する主体という角度から書いています。日本円での支払いを選んだ場合の円額は、JCBが定めるレートではなく加盟店が独自に定めるレートで換算されている、というのが公式の説明です。円建てを選んだ時点で、カード会社の基準レートは使われなくなります。割高になるかどうか以前に、換算のルールそのものが店側へ移ります。

あわせてJCBは「商品の保証書や明細書に日本円の金額が書かれていた場合でも、売上票の現地通貨が優先されます」とも案内しています。店頭で受け取る書類に円の金額が併記されていても、換算の基準になるのは売上票の現地通貨のほうです。

ポイントで損をする場合もあります。三井住友カード プラチナプリファードの外貨ショッピング利用特典は100円ごとに2ポイントが加算されますが、注意事項に「日本円をご選択いただくとポイント付与の対象となりません」とあります。外貨決済向けの上乗せ特典を持つカードでは、円建てを選んだ時点でその特典が消えます。

現金が必要なら、キャッシングには事務手数料がかからない

海外事務手数料はショッピング利用にかかるもので、キャッシングは対象外だと明記している会社が複数あります。ライフカードは「キャッシングの場合、事務処理手数料はかかりません」、三井住友カードは「海外キャッシュサービスについては、海外事務処理手数料がかかりません」、エポスカードは「海外ATMでキャッシングをご利用の場合、海外事務処理費は発生しません」。PayPayカードの会員規約16条と楽天カードの会員規約13条にも同じ趣旨の但し書きがあります。

とはいえ無料になるわけではありません。キャッシングは借入なので利息が付き、ATM手数料も別にかかります。そしてこのATM手数料は会社によって違います。エポスカードは1件あたり1万円以下で110円、1万円超で220円(いずれも税込)と金額を公表している一方、PayPayカードは海外のATMでキャッシングを利用する場合にATM手数料は無料だと案内しています。エポスカードで引き出したときの費用と、両替と入れ替わる分岐点はエポスカードの海外キャッシングで試算しました。

利息と事務手数料のどちらが重くなるかは、借りている日数で決まります。楽天カード1枚で見てみます。キャッシングは実質年率18.0%で、利息は日割り計算です。10万円を借りたときの利息を、同じ10万円をショッピングで使ったときの事務手数料3.63%(3,630円)と比べます。

借入日数利息(実質年率18.0%)
30日1,479円
55日2,712円
73日3,600円

利息が事務手数料に並ぶのは、およそ73日後。楽天カードの場合はここにATM手数料が加わるので、実際の分岐点はもう少し手前に来ます。ATM手数料が無料のPayPayカードのような会社なら、分岐点は利息だけで決まります。つまり損得は借入日数だけでなく、どの会社で引き出すかでも動きます。裏を返せば、帰国後すぐに繰上返済できる人なら、現金を引き出したほうが安く済む場面もあります。返済の仕組みは楽天カードのキャッシングの記事で詳しく扱っています。

三井住友カードの告知には、もう一段の非対称があります。クレジットカードの海外キャッシュサービスには手数料がかからないと書いた直後に「デビットカードでの海外ATM利用時は、海外事務処理手数料が加算されます」と書かれていて、デビットカードの料率は改定で3.05%から3.63%になりました。見た目の似た2枚でも、現地のATMで引き出したときの負担は正反対になります。

料率の一覧には出てこない、損につながる条件

数字の表だけ見ていると気づけないものが、公式の注記に埋まっています。

まず、返品や取消をしても事務手数料が戻るとは限らないことです。エポスカードのFAQは「解約や取消の場合でも、事務処理費として3.85%が発生します」と明記しています。商品の代金が返ってきても、そこに乗った手数料は残るという意味です。明記しているのはエポスカードですが、他社が返すと書いているわけでもありません。返品の可能性がある買い物をするなら、自分の発行会社の扱いを先に確かめておいてください。

差が出るのは手数料だけではありません。JCBは「税金の還付や売上の取消しなど、値がマイナスとなる取引には、同日の売上とは異なるレートが適用される場合があります」と案内しています。返金は購入時と同じレートで戻るとは限らず、為替が動いていれば円の金額がずれます。手数料が残ることに加えて、レートの側でも目減りする可能性があります。

次に、日本語のサイトで買っても海外扱いになる場合があること。三菱UFJニコス、三井住友カード、dカードがそろって、日本語表記のインターネットサイトや通信販売であっても外貨での取引なら手数料の対象になると書いています。ライフカードも「インターネットショッピングご利用の際、利用先によっては外貨による決済扱いとなる場合がございます」と注意していて、海外に行かない人にも関係する話です。

最後が、現地で決済そのものができなくなる可能性です。楽天カードは、暗証番号を複数回誤って入力するとそのカードが使えなくなること、暗証番号の照会にはSMSのワンタイムパスワード認証が必要で、海外SIMなどSMS非対応のSIMカードでは受信できないことを案内しています。現地で番号を思い出せないと、確認する手段まで塞がります。出発前に済ませておく種類の準備です。

結局どのカードを持っていくか

海外での支出が年10万円程度なら、料率の差は最大でも2,250円です。この額のために新しいカードを作るより、いま持っているカードの料率と暗証番号を確認しておくほうが実利があります。

年30万円を超えるなら話が変わります。実質の負担まで確認できたカードの中では、JCB カード Wが約0.6%で一段低い位置にあります。事務手数料1.6%から、還元分の1.0%相当を引いた数字です。手数料の低さと海外での還元率の維持が重なっていたのがこのカードだけだったためで、18〜39歳という入会の年齢条件がある点は先に見ておいてください。料率の数字だけで比べるなら、イオンマークのカードがブランドを問わず1.60%、リクルートカードもJCBブランドなら1.6%です。

これから海外用の1枚を決めるなら、11月に上がる側を避けるという見方もできます。三菱UFJニコスが発行するカードは、いま2.04%で最安の部類に見えるJCBブランドも含めて4%台に乗ります。いまの数字で選ぶと、数か月後にいちばん高い部類に変わっている可能性があるということです。

楽天カードをメインにしている人が、海外のためだけに乗り換える必要はありません。国内は楽天カード、海外決済だけ料率の低い別のカードに寄せる、という分け方が現実的です。これから申し込んでブランドを選べる段階なら、海外での還元率が1.0%のまま残るJCBかAmerican Expressという手もあります。ただしAmerican Expressは日本国外でキャッシングができないので、現金を引き出す前提があるなら向きません。申し込みの条件は楽天カードの公式サイトで確認できます。

手数料でカードを選ばないほうがいい人

年に1回の旅行で、支出のほとんどがツアー代金や航空券という人は、この比較から得られるものが多くありません。それらは出発前に日本で円建てで払うことが多く、外貨での決済ではないため事務手数料の対象にならないからです。同じ理由で、海外旅行傷害保険の付帯条件や現地サポートで選んだほうが、金額としては大きく効きます。保険の条件はカードごとに違うので、JCB カード Wの海外旅行保険の記事のようにカード別に確かめてください。

よくある質問

イオンカードの海外手数料はいくらですか?

ブランドを問わず1.60%です。海外ショッピングのページはVISA・MasterCard・JCBのそれぞれを個別に説明していますが、加算される率はどれも1.60%で、ブランドを選んでも変わりません。手数料とは別に気をつけたいのが支払い方法で、イオンカードは海外での利用分について「クレジットカードお申込み時にご指定いただいたお支払い方法(1回払い・リボ払い)でのお支払いになります。海外のレジではご指定いただけません」と案内しています。申し込みのときにリボ払いを指定していると、海外での買い物も自動的にリボ払いになります。

エポスカードの海外手数料はいくらですか?

Visaブランドで3.85%です。2.20%からの改定で、Visa決済センターで2025年7月1日以降に処理された利用分から適用されています。基準になるのは使った日ではなく処理された日なので、6月末の利用でも新しい料率で請求されることがあります。旅行の直前や直後は、店から売上データが届くタイミングを自分では選べません。なお同じ海外利用でも、海外ATMでのキャッシングには海外事務処理費が発生せず、かわりにATM手数料と利息がかかります。

海外事務手数料が0%のクレジットカードはありますか?

当サイトが公式の告知やFAQで確認できた範囲では、0%のものはありませんでした。最も低いのはイオンマークのカードの1.60%と、ジェーシービーが自社で発行するカードの1.6%です。なお、ショッピングではなくキャッシングについては、事務手数料がかからないと明記している会社が複数あります。

利用明細の日付が、実際に使った日とずれているのですが?

海外での利用では起こりえます。三菱UFJニコスは「ご利用明細書のご利用日欄には、ご利用日のほか現地カード会社の処理日などが表示されることがあります」と案内しています。現地の店から売上データが届いて処理された日が入るためで、日付が数日ずれているというだけでは、身に覚えのない請求とは判断できません。金額と店名を旅程と照らし合わせて、それでも心当たりがなければ発行会社に連絡してください。

実際に適用された為替レートは、あとから確認できますか?

確認できる会社があります。JCBは会員専用WEBサービスのMyJCBまたはカードご利用代金明細書で、実際の換算日と換算レートを見られると案内しています。イオンカードは請求金額の確定後に、AEON Payアプリや暮らしのマネーサイトからダウンロードする請求明細書の備考欄で確認できます。確定前は見られず、請求金額は通常毎月17日から18日頃に更新されます。

海外での利用を分割払いやリボ払いにできますか?

会社によります。三菱UFJニコスは「海外でのご利用は原則1回払いになります」としたうえで、出発前に登録型リボを設定するか、帰国後にあとから分割・あとからリボへ変更する方法を案内しています。現地で支払い回数を指定できる前提でいると当てが外れるので、分けて払いたい場合は事前に自分の発行会社の扱いを確かめておいてください。

本記事の情報は各カード会社の公式サイト・規約をもとに作成しています(2026年8月〜2026年9月時点)。 年会費・ポイント・保険などの条件や規約は予告なく改定されることがあります。

最新の情報は各カードの公式サイトで必ずご確認ください。 公式サイト: リクルートカード / 楽天カード / エポスカード

リクルートカード 公式サイトへ